みなさん、こんにちは

オドリバ主催 H29年度の特別企画。
佐久間新さんを迎えてスペシャルWSを実施しました。

障がいのある人と踊るー踊りあう日々ー
2017年9月9日 札幌市教育文化会館 練習室A
(後援:札幌市・札幌市教育委員会)

様々な年代の女性4名(その他に見学2名)にご参加いただきました。
WS参加の皆様、本当にありがとうございました。

佐久間新さんは、インドネシアでジャワ舞踊のトレーニングを受け、古典曲を演じ・教える民族舞踊のダンサーです。それだけでなく、ジャワ舞踊を基礎に独自のダンス表現を展開し、発表している大阪在住のダンスアーティストです。

オドリバにも何度かゲスト講師としてお招きしていますので、ご存知の方も多いと思いますが、ダンスWSの講師としても高いスキルをもっています。

日本におけるエイブルアート運動の中核を担ってきた「たんぽぽの家(奈良県)」においてダンスWSを行うなど、障がいのある人とのクリエイティブなコミュニケーション経験も豊富なのですが。
ただ、その時、彼は
ダンサーとノンダンサー、障がいの有無、年齢・性差など、普通私たちが頭で理解している状況はまず括弧に入れて、踊りを通して自他の身体と真摯に向き合い、踊りを重ね合わせて、相手と一緒に表現を紡いでいくのです。
もちろん、これは簡単なことではありません。

まさに、ダンスWSの最前線で、踊りあいの日々を続け、探求し続けているダンサーであり、そのWSテクニックもまた非常にユニークです。

 

この企画は、参加者のみなさんに佐久間さんの「踊りあい」を経験し、そのあり方を知ることをテーマとしています。


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体を開き(部分から部分へ、そして、全体)そして、身体のつながりを意識する

首や手など、比較的小さくてわかりやすい部分から始めて動きます。
それを伸ばしたり、反ったり、温めたり、広げたり、ねじったり、勢いをつけたりしながら、エネルギーを体の他の部分へとつなげます。
それがひと流れの運動エネルギー(動き)となって波のようにつづいていきます。

この時、佐久間さんはほとんど言葉で動きを説明していません。
参加者は佐久間さんの動きを感じながら、それを真似ているうちに、気がつくと動きの輪に入り込んでいきます。

動きの源はどこにあるのか
動きには「時間(リズム・速さ)と方向、力、そして質」があります。
普通私たちはこれらをバラバラに考えて行動することはないのですが、
そのどれかに集中することで、思いもかけない動きが生まれることもあります。

まずは方向
方向を決め、それに導かれるように動く。
方向を決めるポイントは、例えば、「指がさす部分のむく方向」とする。
ひたすらその方向に向かって動くのだが、そのとき、体の各部位の連関を丁寧に意識して動くことは大事にする。

手が勝手に動く存在として、手の動きに自分が何とかついていこうとする
(手に向かって動く、あるいは、手の動きに従って動く)

力の流れ(対内外の運動エネルギーの流れを意識する)
「両手を頭の上にあげ、それを床に下ろす」というたちポーズの前屈では
体の中心(丹田のあたり)から外側に向かって両手両足最大限に開くとここまでいける↓
力/質の変化
片手が勝手に動く…
それに従って動いているうちに、手の暴走が止まらなくなって…
動きの波は激しくなる

暴走する手の動きはもう止められない…(エキサイティングな動き)

力のコミュニケーション
力/質は一人だけの場合と他者と繋がっている場合で異なる様相を帯びてくる。
全員で輪になって座り、手を繋いだ状態で
みんなの「張力」を使って体をギリギリまで反らしてみる
↑一人では生まれない動き
引き合う力(コンタクト)
二人組で片手を繋ぎ、引き合って、相手の力を借りながら少しずつ動く。
動きの重なり
ペアの動きからだんだんグループ間の重なり合いが出てくる

誰かとつながりながら、動き合う。

自然と壁に並んでしまった

 
群の力
つながりながらも動き続けることでおもしろいシーンが浮かび上がる

 

群のエネルギーのうねり
手を繋ぎ一列に並んで歩き出す(全員で波のような線を作り出す)
引っ張られる力に従って歩くため、自分の思い通りには動けない。
作用し合いながらエネルギーが大きな群のうねりへ変わる。
クールダウン
波の動きが渦となり、丸く、円になって一段落。
隣の人と手を合わせ、高まった身体のエネルギーを少し冷やすように、優しくタッチする

片手をゆっくり上げたり下げたり、しながら、エネルギーを鎮めていく

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2時間半のWSで、
参加者個々、または、誰かとの関わりや空間全体に響きあう群のエネルギーなどがあふれ、それら様々な力が流れ、うねり、変化していきました。
言葉を交わさず、動きで流れに従い、相互作用しあいながら、変化を生み出すことは
「簡単ではない」
というのは、ただの思い込みに過ぎないのかもしれない。
そんな風に思えてしまうほど、自然な時間でした。
(文 たかこ)